「ぴ。ぴ」 「ああもうおまえはー。お前が見つからなかったらバレなかったのに…」 |
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うーん、それはどうかな? 可愛い鳥の仔ルクと、可愛いけど生意気なズィレ。 アスルとお姫さまがヴァルーシアを発ってから、カシムは兎も角あたしはスハイルのあの機関清掃屋さんにはあんまり顔を出していない。そのせいかな。会っていないのは。以前は、あそこでアスルと話してたらちらほらとこのふたりも顔を出してたんだけど。 もう、発掘機関(イニシエイト・エンジン)をあたしが掘ってくることはない。 だから驚いた。 年若いっていうか、まだ幼い後輩の子供たちと一緒に壁市まで。っていうかあたしとカシムの家に。何のためにわざわざ怖い思いまでして壁市にまで来たのかな。ズィレの首根っこをひょいと掴んで引っ張り上げて、もう片方の手で扉の鍵をかちゃりと開けながら尋ねるあたしに、子供たちは「アスルから手紙が来てるって聞いて」と口々に。 「手紙。手紙ね、来てるは来てるけど」 「やっぱり!」「やっぱりそうなんだ」「ぴ」「仲よかったもんねアスルとここん家」 「あんたたちにも来たんじゃないの?」 手紙。手紙。 それを口にしてみる。 「ぴ。そうだけど。ぴ」 「俺たちに書いたのと違うことがあんたらの手紙には書いてあるかもしれないし。 「ふふ。おかしいの、何がどう仕方ないのさ」 思わず笑ってしまう。 寂しいもんね。 夕食前にお腹に何か入れたら家の人に怒られるかも知れないけど、ま、そんなのはあんまり気にしない。アデプトの壁市に子供たちで行ったってだけでどうせ怒られるんだし、ズィレのことだからうまいこと口裏合わせたりはしてるはず。抜け目ない奴だし。 頷いて、あたしは厨房に入ろうとする。 「あれ、どうしたの。きみたちみんな顔色悪い」 「さささささ」 「ささ? 面白くない冗談さね、ズィレ?」 「ささささささむいんだよぉ。暖炉に火ぃ入れてくれよぉぉ」 「ぴ。さささむい」「さむいよー」「さむいぃー」「さむさむ」「ぶるるる」 「……あ、そっか」 寒い。寒い、か。 こういう感覚の“ずれ”は未だに直らない。図書館連盟の同僚としてアデプトならぬ身の娘たちと接して暫くになるのに、未だに。そう、砂漠の中央に位置するヴァルーシアの夜はひどく冷え込んで、普通の人々には耐えられるものではなくて。気付けば陽もすっかり落ちている。慌てて、あたしは、暖炉の用意をする。 大丈夫。使うことのないものではあるけれど、掃除は欠かしてないからね。 暖炉に火を入れながら。 ふと、あたしは思う。 そういえば── 「……懐かしいな」 「なにがだ? あー、あったけー……暖炉あったけー……」 「ぴ。あったかい。ぴ」「あったかーい」「うん!」「あったかい!」 「なんでもないよ。風邪とか引かないでよね。毛布出すから、待ってて」 あたしは小さく微笑んで。 あたしは思い出す。過去。記憶。 遠い日の記憶。 あれは──
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[Valusia of shine white -what a beautiful hopes-] Liar-soft 26th by Hikaru Sakurai / Ryuko Oishi.
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