貴方は……騎士ロラン様ですね?
私の名はティファー●……モンの占星術師、ティファー●・ラグネルと申します。
星の導きに従い、つい先日、この約束の地ライアーへと辿り着いた女です。
この地の人は、影で私のことを“瞬間湯沸かし器”と呼んでいるようです。
辛苦を堪え忍び、激昂することなど決してない私だというのに、どうして……?
いいえ、人になんと呼ばれ後ろ指さされようとも、構いません。
私は、私の信じる未来のために、ここにいるのですから……。
今宵もまた血の様に赤い夜空を見上げ、移ろわぬ星辰の微かな瞬きから、
この箱は……いつの間に、ここに……?
なにかの
あっ! いけません、ロラン様! むやみに御手を触れては──!?
箱の中から天高く舞い上がった銀盤──あれは、新たな星でしょうか?
時の制止したはずのこの異形世界に、まさか新たな星が現れるだなんて……。
天空に輝く37番目の星──『時計台のジャンヌ』……それが新たな星の名なのですね。
ああ……見える……私には見えるわ。天の銀盤に写り込む、異形世界の未来が……。
騎士ロラン様……貴方は異形世界に降り立ち、この先、数多の決断を迫られることでしょう。
貴方の決断が、貴方と聖女様おふたりの運命を決定的に変える、重大な転機は3度訪れることでしょう
その他の数々の決断も、雪の様に降り積もり、運命の
おふたりを待ち受ける運命は過酷ですが、決して諦めてはいけません。
決断の瞬間を、よく貴方のお心に
時を
ああ……でも、残念ながら、今の私に見える未来は、ここまでのようです……。
貴方がもし進むべき道を見失ったら、様々な
ひょっとすると、時を置いて、名高き予言の書『Bug Bug』に
いえ、もしかすると載らないかもしれませんが……。私にはまだ、その未来ははっきりとは見えていません。
箱の中に銀盤と共に封じらていたこの書物は何? 聖書……いえ、禁書でしょうか?
なんということでしょう!? 聖女様ははじめこんなお姿だったのですね。面影はありますが、今とは随分と印象が違います。
その他にもこの書には、ロラン様がこれから出逢うであろう人々のことや、世界の理について触れられている様子。
もしロラン様があえて真っ新な心で過酷な運命に立ち向かうことをお望みなら、この禁断の書物に目を通されるのは、全てが終わった後にしたほうがよろしいでしょう。
そして、これは……聖女様たちの
聖地アキ・ハバラやオオサカ・ナゴヤの聖女様を奉る教会に巡礼し、お布施をすると頂けるそうです。
どの教会も、無くなり次第終了とのことですので、なにとぞお急ぎ下さい、ロラン様。
刻は既に動き始めてしまったのですから……。
ああ……私ももう行かなければ。
フィリップ様がペ●ング焼きそばをお求めになる頃合いです。
でも、あなた様とはきっと再びお会いすることになるでしょう。
その日まで、どうか、ごきげんよう。